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70年以上培ったノウハウで展開されるユニークな下町ガラス雑貨|富硝子株式会社(とみがらすかぶしきがいしゃ)
お好きな方も多いであろう、ガラス雑貨。
今回は、下町でつくるガラス雑貨を展開している富硝子株式会社(とみがらすかぶしきがいしゃ)のご担当者様に、富硝子株式会社の誕生秘話など様々なお話をお伺いました。
目次
下町でつくるガラス雑貨 富硝子株式会社とは?
「まず、富硝子株式会社はどういった商品を展開している会社でしょうか?」
「富硝子はガラス製のトロフィーや食器を企画、デザイン、製造、卸、販売している会社です。創業は1948年。戦後の東京都で富硝子はガラスの香水瓶を欧米に輸出したことからスタートしています。
現在では70年以上培ったガラスのノウハウで雑貨からジュエリーBOX、トロフィーまで幅広く商品展開をしています。」
「御社のガラス雑貨の特徴は何でしょうか。」
「特徴は大きく3つあります。1つめは職人による技術。印刷ものはすべて一つ一つ丁寧に転写やシルクスクリーンなどのハンドプリントで絵付けをしています。またラインストーンも手貼り。美しい仕上げに定評があります。
2つめはガラスのインク。冷やすと色が変わる「カラーチェンジ」や、ガラスの粉を焼き付け立体的な印刷が可能な「エンボス」、本物の金含有インクを職人が筆で巻く「金巻き」など特殊なインクを使ってデザインされたものが多いです。
3つ目は企画のアイデア。飲みながらゴルフゲームができる「遊べるグラス」は父の日人気No. 1です。また、アインシュタインや文鳥など、一見マニアックなモチーフも、親しみを感じていただいています。」
ユニークな商品から美しい色彩のグラスまで様々な商品展開。
「御社がガラス雑貨を作るうえで大切にしているこだわりがあれば教えてください。」
「疲れて帰ってきた日も、晩酌でお気に入りのグラスを使うとちょっと癒されたりします。グラスをプレゼントしたときに特殊なプリントやテーマのあるデザインが話題のきっかけになれば話がはずみます。買っていただく人のそんなシーンを大切にし、イメージしながら作っています。」
「新商品は年間どの程度出るのでしょうか?」
「新商品は年に1度。平均10シリーズ30SKU以上展開をしています。その他にもチャレンジ商品として、数量限定で新しい加工技術や新たなイラストを商品化することも。限定品も合わせると年間で50SKUほど作っています。
「デザインがとてもおしゃれだなと思ったのですが、デザインはどのようにして決めているのでしょうか?」
「お褒めいただき、ありがとうございます。デザインが生まれるのは大体2パターンです。1つは企画営業チームの雑談から生まれたアイディアを、デザイナーが詰める場合。もうひとつはデザイナーが作りたいものを素直に作るパターンです。」
「2パターンから素敵な商品たちが生まれているのですね。」
「そうなんです。チームの雑談から生まれたアイデアは、デザインができないスタッフも自由に発想を言える社風です。例えば『江戸硝子の紺色が夜空のように見えるからプラチナインク塗りたい』という営業の発想から始まり、まるで銀河のように見える酒器が完成しました。どうしても『江戸ユニバースという名前にしたい』と言う話が。デザイナーは浮世絵の町民が宇宙服を着たようなイラストを描き、江戸硝子×宇宙のコンセプトをつけWEB限定販売したことも。」
「もう一つはデザイナーの日々のインプットから会議に企画提案し、商品化します。インプットはその時個人的にはまっている海外ドラマから、週末に見た映画、通勤路の猫、美術館の絵画まで、何でもデザインに落とし込めるのがトミレーベルというブランドの魅力です。そのアイディアを企画会議に出しチームの意見をミックスさせて、現代の市場に合った商品に作り上げていきます。またデザイナーはガラスに油性ペンで直接イラストを描きひらめくことも。(代表作ゴラス)」
人気商品を聞いてみました。
「では、気になる人気商品を教えてください!」
「わかりました。人気のシリーズを3つご紹介します。」
人気商品1:耐熱ガラスポピンズシリーズ
「まずは、累計1500点以上を売り上げている人気シリーズの『耐熱ガラスポピンズシリーズ』。まるで物語のティータイムに出てきそうな、メルヘンさとエレガントさをかけあわせたガラスのティーセットです。
雲の上でお茶をしながら登場する、『メアリーポピンズ』のシーンに憧れて、その世界観をフォルムで表現しました。ゆったり入ったパンプキン調のモールは、個性的だけれど上品なデザインにしました。」
人気商品2:封ろうビアグラス
「人気商品2つ目は、累計5000本以上を販売している『封ろうビアグラス』です。立体的な封ろう風のプリントで、トミレーベルの人気商品です。プレミアム感漂う佇まいで、ビールがよりいっそう美味しくなりそう。男女どちらも好まれるデザインは、リアルなシーリングワックスのぷっくり感にこだわりました。
立体的な封ろうプリントの中央は本物のプラチナ含有インクで、キラキラ。スワロフスキーⓇ・クリスタルがアクセントを添えます。」
人気商品3:江戸硝子うきよシリーズ
「人気商品3つ目は、累計10,000点以上を販売している人気シリーズ『江戸硝子うきよシリーズ』。東京都内の工場で伝統工芸士監修のもと生産されたハンドメイド江戸硝子で、江戸の文化を現代風にイメージし、ストーリー性を持たせて配色しています。
例えば、『花火』をイメージしたガラス。はじける花火、色とりどりの浴衣姿から連想して、カラフルでポップな色合いにしています。」
「『お花見』をイメージしたガラスであれば、お花見に着てゆく晴れ着や、桜や藤の花の美しく大人なカラーにしています。」
ガラスを通したSDGsの取り組み
「SDGsの取り組みもされているとの事ですが具体的にはどういった取り組みでしょうか。」
「自動車の窓ガラスをアップサイクルしたガラス食器の販売を始めました。爽やかなグリーンとガラスの中の細やかな泡が特徴で、海の街・小樽を感じさせる、レトロな味わいがある商品です。」
「富硝子が企画し、小樽のガラス工場が生産。コラボレーションして作っています。もともとは小樽のガラス工場さんが海のそばにあり、環境にやさしい工場内のシステムを導入されていることを知ったのがきっかけです。
工場では雪解け水(雨水)を作業水として循環させ、海の幸を守る取り組みをされています。ガラスは1400度以上あるツボの中でガラスの種を溶かすので、たくさんの熱を排出します。工場は、その熱を使って雪を溶かします。ガラスを切ったり削ったりするときに、摩擦で割れないよう水をかけ続けます。この作業水が雪解け水です。寒い土地にあるガラス屋ならではの取り組みに共感しました。」
「雪解け水を作業水として利用していたのですね。」
「富硝子はこれらの雪解け水で作られたアイテムを『小樽硝子』とブランド化し、共同開発しました。プラスチック製の安価な食器はたくさんありますが土に戻る事はありません。ガラスはもともと砂や灰など組成が自然のものからできています。
昨今、海に捨てられたプラスチックはマイクロプラスチックとなって海洋問題に大きな影響を与えています。わたし自身も千葉の海へ撮影にいくと、ピンクや黄色のプラスチックごみが写りこんで、問題の身近さにびっくりしました。バーベキューで使ったプラ製のコップやスプーンが自然素材になれば、もう少しましになるかもしれません。」
「普段はあまり意識出来ていないですが、そういった環境問題は思っているよりも私たちの身近に迫っているのですね…。」
「そうなんです。そして2019年2月に雪解け水で切子をカットした『小樽切子』を発売。よりSDGsのメッセージ性の強いアイテムとして2021年2月に『小樽再生ガラス』というシリーズを生み出しました。
グリーンの再生ガラスは自動車の窓ガラスをアップサイクルした食器です。廃材として捨ててしまうはずの車の窓をガラス食器に生まれ変わることでSDGsを食卓で身近に感じていただけたらなぁと思っております。」
いままでの概念にとらわれないアイテムを作りたい
「どんなユーザーに富硝子の商品を広めていきたいですか?」
「今まで通り20代後半から50代の食器が好きな女性です。また今後は30代以上の男性にもユニセックスにお使いいただけるようなアイテムを増やしたいです。」
「今後世の中のガラス市場はどのような広がりを見せると思いますか。」
「コロナ禍でおうち飲みが増え、飲んでいる手元を撮ったり、カフェのようなクリームソーダやスイーツを家で美しく盛りつけてテーブルウェア楽しむ人が増えました。
「推し」を楽しむ「推しグラス」のように、ロールケーキでミッフィーを作ったり、お取り寄せした日本茶を飲んでTwitterで記録するなど、細分化された趣味と食器で手元を撮って、シェアして同じ趣味の人と共感することは小さな幸せです。この文化はこれからも深くなっていくような気がします。
趣味の細分化により、ガラス市場も「パフェグラス」や「シガーアッシュトレイ(葉巻の灰皿)」などふだんお家では使わないような業務用の食器も広がりそうです。」
「おうち時間の楽しみ方も多種多様ですし、そんなおうち時間を彩ってくれるのがガラスなのかもしれないですね。」
「またSDGsの目標の観点からガラスの価値を再検討されるのではないかと思います。割れない素材を全く使わないのではなく、ライフステージに合わせた食器を使う方も増えてくるのではないかと。
お子さんが小さいときや介護では樹脂素材の器を使い、少し心の余裕があるときはうすいグラスを買ってみようか…など。「100均でいっか」という世帯と「いいものを長く大事に使おう」という世帯の二極化が進みそうです。」
「では最後に、富硝子株式会社の今後の展望を教えてください!」
「ガラスという素材を通じて、いままでの概念にとらわれないアイテムを作りたいです。例えば、キャンプにグラスは持っていかないですよね。持って行っても、紙コップか割れないプラ食器です。
でも、海外のピクニックではワイングラスをバスケットに入れて持ち歩きます。便利さが先行して、使わないだけ。プロポーズするときの指輪は、ダイヤだけをプレゼントして、指輪は一緒に作りにいくカップルも増えています。そのケースがクリスタルのジュエリーケースだと素敵ではないですか?2人の記念日を刻印したりして…。富硝子ではペットのお位牌をガラスで作ることもあります。
ワイングラスで日本茶を飲んでもいいのです。日本酒は男性が飲むイメージだったものが、今ではふつうに女性ファンも多いように「当たりまえ」がどんどん変化する時代です。富硝子は今後も失敗しながら、大手ではできないような新しい商品にチャレンジしてゆきます。」
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は下町でつくられたガラス雑貨を展開している、富硝子株式会社にお話を伺いました。
美しいガラス雑貨だけでなく、父の日ギフトにも良さそうなユニークなビアグラスまで、様々な商品があってオンラインショップを見ているだけでも楽しかったです!
おうち時間の楽しみ方のひとつとして、お気に入りのガラス雑貨を手に入れてみるのも良いのではないでしょうか。
気になった方はぜひチェックしてみてくださいね。
詳細はこちら。
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