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2020年1月8日

メディアで話題!『七宝焼(しっぽうやき)』ってなに?伝統工芸品とその魅力とは│窯元の跡継ぎ娘 田村 有紀さん にインタビュー


長年に亘り受け継がれている技術や技の結晶である伝統工芸。その日本の伝統工芸である七宝焼(しっぽうやき)を知っていますか?

今回はその七宝焼を絶やさない為に職人として作品制作をするだけでなく・広めるために活動をされている、本サイトにシズリストとしても参加されている田村七宝工芸田村 有紀(たむら ゆうき)さんに、七宝焼の魅力を聞いてみました。

七宝は様々な色やデザインををすることが出来る『描がける宝石』。


田村 有紀(たむら ゆうき)さん。明治16年より続く七宝焼の窯元『田村七宝工芸』のゴダイメ。七宝焼を広めるべく、作品制作のほかにテレビなど様々なメディアの出演や講演会、七宝ジュエリーブランドの運営や観光イベントのゲスト出演など多岐にわたる活動をしている。

「基本的な事なのですが、七宝焼(しっぽうやき)とは何なんですか?」

「七宝焼(尾張七宝)は、銀、銅などの金属にクリスタルガラスを焼き付ける、国の伝統工芸品です。」


七宝焼は金属にクリスタルガラスや金・銀を焼き付ける伝統工芸品。自由な絵柄や鮮やかな色彩を出す事が出来るのが特徴。

「よく轆轤(ろくろ)を回すんでしょって言われるんですけど、陶器を作る陶芸とは別のカテゴリーなんですね。」

「陶芸とはどう違うんですか?」

「大きく違うのは、陶芸は陶器。土、セラミック、ろくろを回すやつです。お茶碗などですね、歴史も日用品派生。でも、七宝焼は歴史も宝飾品派生で素材も土ではなく金属とクリスタルガラス。なので宝石とかと同じで飾られるような使われ方をします。」

「七宝焼の元祖になるようなものがツタンカーメンの仮面にも使われてたと言われているんですよ。古代エジプトからシルクロードを渡って、江戸末期に日本に伝えられたと言われています。」

「後、陶芸は焼いてみて何が出るかわからない部分があるんですね。温度や湿度で出来上がりが変わってくるんですね。なので良くも悪くも偶然美みたいなものがあるんですけど、七宝焼は計算美です。」

「七宝は陶芸と違って焼いてみないとわからないということはありません。ぜんぶ知識で作る。色が突然変異で予想外に変わるって事がないんですね。ぜんぶ化学。なので最後まで全部計算して作っていきます。なので、こんなの失敗だ!パリーン!ということはしません。笑」

「ビギナーズラックみたいなラッキー要素が無いんですね。」

「そうです。後、絵柄が描けるので自由度が高いです。宝石で絵を描くとか、描がける宝石なんて言われたりします。」

「また、鮮やかな色彩を出す事が出来るんですね。七宝焼は色褪せることが無いとも言われていて、作ったときの色彩が永遠と言っても良い位に残るのも大きな特徴です。」

「仏教で七つの宝(金・銀・瑠璃・玻璃・硨磲(しゃこ)・珊瑚・瑪瑙(めのう))って宝があるんですけど、七宝焼は色んな色を出せるのでまさにその七つの宝物みたいだねと言われたのが七宝という名前の起源という説があります。たしかにこんなに色彩豊かな工芸は珍しいです。」


こちらは『スヌーピーin銀座2019』用に作成された作品。自由に絵柄を描く事が出来る為、このような作品も作る事が出来る。

七宝焼きは多くの工程数を経て作られていく。完成まで10回程度焼くことも!

「実際にどのような工程で作っていくんですか?」

「まずは、色をつける釉薬(ゆうやく)を作る事から始めます。釉薬はクリスタルガラス釉薬というものを使うんですけど、これは昔は宝石の価値があると言われたような精度の高いガラスです。」

「釉薬ってガラスを砕いて砂状にした物なんですね。なので、例えば絵の具みたいに赤と白を混ぜてもピンクにならないんですよ。」

「そうなんですね。」

「普通に混ぜると塩とコショウを混ぜるような感じで、つぶつぶ同士が混在しているだけなので。なので、二つをどろどろに溶かして、砕いてようやく中間色が出来るんですね。」

「例えば赤から白のグラデーションを作りたいなら、この工程を7回やって7色作らないといけない事になります。」


こちらがクリスタル釉薬。絵具のように混ぜる事が出来ない為、1つ1つ色を作る必要がある。

「材料をそろえる時点ですごい手間ですね…。」

「手間や材料費はどうしてもかかりますね。そして、銀や銅などの金属の上に釉薬をのせていきます。が、その前に下処理をしたり、細かな絵柄を描くときは純銀の帯状の線を立てて絵柄を描いていきます(植線・・・しょくせんと呼ぶ)。すごく手間な工程ですがこれをすることにより細かい繊細なデザインを描けるようになります。尾張七宝の特徴とも言えます。」


緻密な絵柄を作りたい時には先に植線(しょくせん)という銀泉を使って絵柄を描いていく。

「かなり緻密な作業ですね。」

「線を立てたらまた焼成とよぶ焼く作業に入ります。工程ごとに焼きますので、全部で10回程度約こともあります。」

「また、塗る前の銅板も油がついているのでそれを焼き切る為に焼いて。そして硫酸でピカピカにした後、両面に釉薬を塗らないと膨張率の関係で取れちゃうのでまた裏に塗って焼いて。焼くと表が墨みたいになるのでまた磨いてみたいな(笑)工程数はどうしても多くなりますね。」

自由に絵柄が描ける為、一点物のプレゼントに最適。

「実際に出来上がったものを見させていただくと、鮮やかな色が出ていてとても綺麗ですね。手触りもつるつるですし。」

「そうなんです。研磨もしておりますし、焼くとガラスが溶けるので。ちゅるっとした感じになります。」

「どのような形の物が売れたりしてるんですか?」

「プレゼント用にはネックレスやピアスなどのアクセサリーも多いですね。」

「男性のお客様も多いんですけど、ブランド物をあげるよりもハンドメイド・1点物を上げた方が面白いと思って購入されたりもします。」

オーダーメイドもされているんですね。そう考えるとお値段もお安いかもですね。どういった内容の依頼が来たりするんですか?」

「結構、漠然とされてますね。『柔らかい雰囲気の彼女に似合う感じがいいんだけど』みたいな(笑)」

「確かにふわっとした表現ですね(笑)」

「でも、そういうのを考えるのが好きなんですよね。送る相手のパーソナルな部分を聞いてイメージをして作ったりします。ふわっとおまかせいただいて大丈夫です!そういうの大好物。笑」


こちらは実際にWEBサイトで販売されているジュエリーの商品。オーダーメイドもされており、ジュエリーなどの小物であれば3万円~から制作を受けている。

「後はアクセサリー以外だと記念碑とか引っ越し祝いとかもありますね。表札なんかもあります。」

「この鮮やかさ・つや感は表札にいいかもですね。」

「七宝焼って日に当たっても色があせるとか無いんですね。名前だけじゃなく、ご要望に合わせた形でサクラや小鳥を入れたりもしたことがあります。豪華な表札を作るにはぴったりですね。」


七宝焼は日に当たっても色があせる事が無い為、表札やブランドのネームパネルなどショップのエントランスに置かれる用途で作られる事もあるとの事。

世界に誇る技術の結晶。ただし継承する人間が少なくなっている。

「先程言った通り、七宝焼きは江戸末期に入ってきたんですけど、日本人って入ってきた技術を伸ばすが上手で。世界中に七宝らしきものがあるんですけど、日本の七宝は技術力が高いという事で、明治初期には完全にやりつくした位に世界からも評価されるような技術を確立したんですね。」

「明治初期の頃にパリ万博に出す為に七宝焼を持っていったりとか。まだ草履を履いているような時代、国が日本が誇る技術を世界に持っていくには何を持っていったらいいだろうって考えた時に七宝を持って行こうってなったんですよ。我が家の先祖もパリ万博に出品していて。その位七宝の技術が高かったんです。」

「それは凄いですね。」

「ただ、宝飾工芸品はお値段も安くはないので不況の波に煽られやすいです。材料費もかかりますし工程数も多く大変な工芸なこともあり。ただ、色んなメディアや講演で伝えていますが、昔は100や200の窯元(かまもと)がありましたが、今は8軒しかないです。そして後継ぎは私だけなんですね。」

「だから、七宝焼を広めるために様々な活動をされているんですね。」

「はい。わたしは生まれてから職場で遊んで手伝いをし作品に囲まれて育ちました。七宝の魅力を一番良く知っているかと思います。このまま技術や存在が消えていくことはたえられません。悲しい。なので、テレビや新聞や雑誌などに出せていただいたりとか、講演会やビューティージャパンというコンテストに出たりとか。」

七宝焼を広めるためにテレビや新聞などのメディアや講演会など積極的に出演をしている。またキャリアを重視するビューティーコンテスト「ビューティージャパン」では日本大会のグランプリになった。

「多くの方が存在を知らないのでプレゼントの選択肢の1つにもならないんですね。でも知ってもらえたら好きになってもらえるかもしれない。知ってもらえないと好きにも嫌いにもなってもらえない。私がメディアに出ているのを見て興味を持ってくれて買って頂いて、実物を見たらこんな綺麗なんだねみたいな。そういう形で買ってもらえるケースも多いですね。」

「ご自身に興味を持ってくれる事によって七宝焼の魅力を伝える事が出来るんですね。七宝焼がどのような形で広まるのが理想ですか?」

「「私、全部やりたいんですよね。七宝焼をもっと知ってもらいたいですし、技術保存の為に後継者育成できる環境も整えたい。また、私自身もアーティストとしての作品もどんどん出していきたいですし、世界を市場にしていきたい。七宝町(田村さんが生まれた七宝焼の発祥の地)の地域活性もしたい。わくわくすることをたくさんしていきたいです、自分がわくわくしていないと見てくださる方も楽しくないでしょうしね。職人として楽しく生きる方法をみんなに見せたい。形式にとらわれず先駆者でありたいです。」

「その為にもっと七宝焼を知ってもらう為のきっかけづくりを色々していきたいですね。」

専門家

田村 有紀(たむら ゆうき)
伝統工芸品 七宝焼職人。明治16年創業/七宝焼の窯元のゴダイメ。ビューティージャパン2019日本大会グランプリ。

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